NOTES

Sasquatchfabrix.24SS "Harvest Time"

Dec 11, 2023

「デニム」はインディゴ染料で染めた経糸と、染色をしていない白色の緯糸で織った綾織りの織物であるが、単なる素材を超え、社会の気分を表してきた。

ゴールドラッシュに湧くアメリカの労働者の作業着として始まる。
その後、反体制的なカウンターカルチャーと結びつき「自由・反抗」のシンボルとなる。80年代には労働者階級コミュニティを飛び出し「ハイファッション」と、90年代は「ヴィンテージファッション」、00年代は「ファストファッション」といったように時代に流れる深層、織りなす文化と結びつき社会の気分を表してきた。

昨今は「ヴィンテージデニム」が投資側面の強い消費の対象となり価格が高騰し盛り上がりを見せている。ヴィンテージ市場は「HARVEST TIME」といった状況だ。

「物の価値」と「時間」との関係には、非常に複雑なプロセスがあり興味深いものである。

文化は農業と同じで耕すプロセスが必要である。収穫したら、土を休ませ、耕し、種まいて水をやり、芽を出し、育ち、再び実をつけるのである。文化の持つカウンター性を耕し、土壌を豊かにすれば、そこから芽吹き、いずれ「デニム」と結びつく文化が出来ていく。

中央から逃れ、反抗し、そして敗北する。

そろそろ「デニム」な気分である。

AND MORE